リカバリーウェアが夏に暑くなるかどうかは、着ている生地で決まります。
血行を promote する働きそのものが、体を熱くしているわけではありません。
厚手のスウェット生地を真夏に着れば暑いですし、夏向けの薄い生地に替えれば暑さはかなり引きます。
ただ、半袖に替えても暑いままの人がいます。
その場合、暑さの出どころは服ではなく、部屋や寝床のほうにあります。
夏のリカバリーウェアが暑いのは生地の話で血行促進のせいではない
リカバリーウェアの
です。
ここが混ざったままだと、「血が巡る=体が温まる=夏は無理」という結論に行き着いてしまいます。
まずはこの2つを切り離すところから始めます。
血行がよくなると体が熱くなるという思い込み
リカバリーウェアは、服のほうが熱を作って体を温めているわけではありません。
たとえばTENTIALの「BAKUNE」の場合、生地に使われている特殊繊維「SELFLAME」は、極小のセラミックス粉末を練り込んだもので、TENTIAL公式サイトでは
「体から発せられる遠赤外線を輻射して血行を促進する」
と説明されています。
もとになっているのは、自分の体がもともと出している熱です。
外から熱を足しているのではなく、自分の熱を跳ね返しているだけ、というイメージが近いです。
ちなみにBAKUNEは、一般医療機器の「家庭用遠赤外線血行促進用衣」として届出がされています。
この届出はあくまで血行促進についてのもので、涼しさや暑さは対象外です。
つまり「医療機器だから夏は暑い」でもないし、「医療機器だから夏でも涼しい」でもありません。
涼しいかどうかは、まったく別のところで決まっています。
「機能」と「着心地の涼しさ」は、同じ1枚の服に入っているけど別々の仕組み。ここを分けて考えると、迷いがかなり減ります。
暑さを決めているのは生地の厚みと通気性
暑いか涼しいかを決めているのは、生地の厚みと、空気や汗の抜けやすさです。
これはリカバリーウェアに限らず、ふつうの服とまったく同じ理屈です。
TENTIALの素材ディレクターの佐藤啓胤さんは、同社の公式noteで
フリースのように毛羽立った素材は繊維のあいだに空気を抱え込むので保温力が高くなり、反対に夏物の素材は毛羽立ちを抑えて表面をツルツルぎみにすると冷たく感じやすい
と話しています。
そして温度の感じ方は「保温力」と「表面温度」の2つの軸に分けられ、その両方を調整することが大事だ、とも語られています。
言い方を変えると、生地の作り方しだいで、同じ機能を持ったまま暖かくも涼しくもできる、ということです。
だから同じブランドの中に、スウェット生地のモデルとメッシュ生地のモデルが並んでいます。
スウェット生地のリカバリーウェアを真夏に着て「暑い」となるのは、服が壊れているわけでも、機能が悪さをしているわけでもありません。
単に、季節に合っていない生地を着ているだけです。
冷房で冷えた体こそ血行が滞りやすい
ここまでの話をひっくり返すようですが、夏は「冷えている人」が意外と多い季節です。
外は猛暑、部屋は冷房、という往復を毎日くり返しているからです。
寝ているあいだも冷房の風が当たり続ければ、体は冷えます。
体が冷えると血の巡りは落ちるので、冷房で冷えている夏こそ、血行を促す働きが効く場面だと各ブランドは説明しています。
実際、ベネクスの夏用モデル「リカバリークール+」には、VENEX公式サイトによると、睡眠時の冷房対策として快適さと冷え対策を兼ねた長袖タイプも用意されています。
「夏用=とにかく薄く短く」ではなく、「冷やしすぎない」まで含めて作られている、というのが今の夏モデルの立ち位置です。
リカバリーウェアが夏に暑く感じる状況は4つに分けられる
夏に暑く感じる状況は、生地・寝床・部屋・体の4つの層に分けられます。
そして、このうち買い替えないと直らないのは1つだけです。
残り3つは、今夜からタダで手が打てます。
| 暑さの出どころ | よくある中身 | 直し方 |
|---|---|---|
| ①生地 | スウェットなど 厚手の生地を 真夏に着ている | 買って直る 夏向けの生地に替える |
| ②寝床 | 掛け布団が厚い 肌着と重ね着している | 買わずに直る 布団を減らす・直に着る |
| ③部屋 | 室温・湿度が高い 冷房を切って寝ている | 買わずに直る 室温と湿度を下げる |
| ④体 | 風呂上がり・運動直後・ 食後で体がまだ熱い | 買わずに直る 体が落ち着いてから着る |

ここから1つずつ、中身と手の打ち方を見ていきます。
生地の季節が体感に合っていない
いちばん多いのが、これです。
リカバリーウェアを最初に買うとき、多くの人が定番のスウェット生地のモデルを選びます。
スウェット生地は、繊維のあいだに空気を抱え込んで保温するように作られています。
それを真夏に着れば、当然、熱がこもります。
この層だけは、着方の工夫ではどうにもなりません。
ふつうの服を衣替えするのと同じで、生地のほうを替えるしかない層です。
ただし、買い替えを決める前に、下の3つを先に確かめてみてください。
そちらが原因だった場合、夏用を買っても暑いままで終わります。
布団と重ね着で熱と蒸れがこもっている
服の上に布団がある以上、暑さの半分は布団の話です。
保温性の高い掛け布団をそのまま夏も使っていると、いくら薄いウェアを着ても、布団の中は蒸し風呂になります。
まずは掛け布団を薄いものに替えるか、枚数を減らしてみてください。
もうひとつ多いのが、肌着との重ね着です。
リカバリーウェアは、肌の上に直に着るのがいちばん機能を発揮する作りになっています。
あいだに1枚はさむと、遠赤外線を跳ね返す相手が肌ではなく肌着になってしまいます。
そのうえ、汗の逃げ道もふさがります。
とくに綿の肌着との重ね着は、夏の相性がよくありません。
綿は汗をよく吸いますが、乾くのが遅いからです。
湿った肌着が肌にはりつくと、寝汗のべたつきで目が覚めやすくなります。
どうしても重ね着したい場合は、乾きの速い素材の肌着にするか、汗をかいたらこまめに着替えるほうが快適です。

室温と湿度が高すぎる
ここが、いちばん見落とされている層です。
どんなに涼しい生地でも、部屋が暑ければ暑いです。
接触冷感の生地は「まわりの空気より少し冷たく感じさせる」ものであって、部屋を冷やす道具ではありません。
そして日本の夏でやっかいなのは、気温より湿度のほうです。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体の熱が逃げていきません。
この状態だと、何を着ていても暑く感じます。
目安になる数字も出ています。
環境省の熱中症環境保健マニュアルでは、温湿度計で室温をこまめに確かめて、エアコンを使うときは室温28℃を目安に適切な温度を保つよう呼びかけられています。
この28℃はエアコンの設定温度ではなく、部屋の温度のほうです。
設定を28℃にしても、部屋の造りや日当たりによっては室温が28℃まで下がらないことがあります。
ここを勘違いしたまま「28℃にしてるのに暑い」となっている人は、かなり多いです。
同じマニュアルでは、室温を下げすぎて24℃を下回ると外気温との差が大きくなり、部屋に出入りするときの体の負担になる、とも書かれています。
つまり冷やしすぎもよくない、ということです。
また、高齢の人は暑さを感じにくくなるため、皮膚の感覚で判断せず温湿度計で確かめるようにも呼びかけられています。
出典:環境省「熱中症環境保健マニュアル」日常生活での注意事項
寝室にまだ温湿度計がないなら、夏用のウェアを買うより先に、そちらを1つ置くほうが効きます。
体感ではなく数字で見ると、暑さの出どころがどこなのか一発でわかるからです。
体のほうがまだ熱い
最後の層は、服でも部屋でもなく、体そのものです。
体がまだほてっているタイミングで着れば、何を着ても暑いです。
ありがちなのは、この3つの場面です。
- 風呂上がりすぐ
体の熱がまだ抜けきっていない状態で着ると、そのまま汗をかき続けます - 運動やストレッチの直後
汗が引く前に着ると、生地が汗を吸い続けることになります - 温かいものを食べた後
食後は体が熱くなりやすく、ふつうの服でも暑く感じる時間帯です
どれも手の打ち方は同じで
体のほてりが引くまで少し待ってから着る、これだけです。
眠りに入るとき、体は手や足から熱を逃がして、体の中心の温度を下げていきます。
この熱の逃がし作業が進む前に着ると、服のせいにされてしまう、というわけです。
風呂から上がって少しのんびりしてから着替える、という順番に変えるだけで、体感はけっこう変わります。
夏用リカバリーウェアが涼しい理由と選び方
4つの層を確かめて、それでも生地を替えたほうがいいとなったら、ここからが本番です。
夏用リカバリーウェアの「涼しい」は、実は3つの別々の機能が合わさったものです。
この3つは効く場面が違うので、分けて理解しておくと選びやすくなります。
涼しさは3つの別々の機能でできている
- 接触冷感
肌に触れた瞬間にひんやりする機能。効くのは「着た瞬間」と「寝返りで生地が肌に当たり直した瞬間」 - 通気性
熱と湿気を外へ逃がす機能。効くのは「寝ているあいだずっと」 - 吸汗速乾
汗を吸って素早く乾かす機能。効くのは「汗をかいた後」
ここでいちばん大事なのは、接触冷感は持続する機能ではないということです。
肌と生地の温度差があるうちだけひんやりするもので、しばらく触れていれば生地は体温になじみます。
だから「接触冷感」と書いてあるからといって、朝までひんやりが続くわけではありません。
一晩を通した涼しさを支えているのは、むしろ通気性と吸汗速乾のほうです。
通気性は、生地の織り方や編み方で決まります。
メッシュ、凹凸のあるシアサッカー織り、鹿の子編みなど、どれも「生地が肌にべったり張り付かない」ための工夫です。
肌と生地のあいだに隙間ができれば、そこを空気が通って熱と湿気が抜けます。
ベネクスの「リカバリークール+」も、公式サイトでは、肌面の熱や汗を吸って素早く放出するのでこもった熱も蒸れにくく、さらりとした肌ざわりが続く、と説明されています。

選ぶときの優先順位としては
通気性と吸汗速乾を土台にして、接触冷感はおまけと考えると外しにくいです。
室温で着るものを決める暑さ対策の早見表
季節で決めるより、室温で決めるほうが失敗しません。
寝室の温湿度計の数字で、着るものとエアコンの手の打ち方を分けた早見表がこちらです。
| 寝室の室温 | 着るもの | 部屋のほうの手 |
|---|---|---|
| 24℃以下 | 長袖・長ズボンでもいい 冷房の冷えが気になるなら 夏用生地の長袖が快適 | 冷やしすぎ 設定を少し上げる |
| 25〜26℃前後 | 夏用生地の長袖 または半袖 | ここが眠りやすい帯 風が直接当たらないように |
| 26〜28℃ | 夏用生地の 半袖・短パン | 湿度も一緒に下げる 除湿や扇風機の併用 |
| 28℃超 | 服より先に部屋 何を着ても暑い | まず室温を下げる 夜間の熱中症のリスク帯 |
この表でいちばん言いたいのは、いちばん下の行です。
室温が28℃を超えているなら、それはウェアで解く問題ではありません。
環境省が呼びかけているとおり、エアコンで室温を下げるのが先です。
涼しい生地に替えて我慢する、という方向に行かないでください。
室温の目安は環境省の熱中症環境保健マニュアルをもとにしています。
着るものの欄は目安であり、体感には個人差があります。体調がすぐれないときは無理をせず、医療機関に相談してください。
主なブランドの夏モデルと価格帯
夏用モデルは、ブランドごとに「涼しさの取りに行き方」が違います。
公式サイトの表記が確認できたものを並べました。
| モデル | 涼しさの取り方 | 形 | 価格 |
|---|---|---|---|
| TENTIAL BAKUNE Dry | 吸汗速乾 抗菌防臭のRepur加工 | 半袖Tシャツ+ ショートパンツの 上下セット | 22,880円 (税込) |
| VENEX リカバリークール+ | 接触冷感+高通気 セルロースに コットンを混ぜた糸 | 半袖+パンツ ワンピース 長袖もあり | 16,500円〜 (形により変わる) |
| AOKI リカバリーケアプラス メッシュ | 高通気メッシュ ポリエステル100% 消臭テープ付き | 半袖+ ハーフパンツの 上下セット | 9,000円前後 (実売) |
相場としては
上下セットでおよそ1万円台から2万円台と思っておくと大きく外れません。
もっと手ごろな価格帯を探しているなら、ワークマンやニトリからも一般医療機器の届出をしたリカバリーウェアが出ています。
まず試してみたい、という段階なら、そちらから入るのも手です。
※価格は各社公式サイトの表記をもとにしたもので、変わることがあります。最新の価格・ラインナップはTENTIAL公式サイト、VENEX公式サイトなどでご確認ください。
暑がりの人が夏用を選ぶときに迷いやすいところ
暑がりの体質なら、夏用モデルの中でも
通気性を最優先にするのがいちばん確実です。
接触冷感の表記より、メッシュ生地かどうか、生地が薄いかどうかを見てください。
そのうえで、迷いやすい分かれ道が2つあります。
半袖にしても暑い人は原因が服の外にある
半袖・短パンにして、それでも暑いなら、生地はもう限界まで軽くなっています。
これ以上、服で削れるところはありません。
その場合、暑さの出どころは寝床か部屋か体のどれかです。
掛け布団が厚くないか、室温が28℃を超えていないか、風呂上がりすぐに着ていないか、この3つを順に確かめてみてください。
ここで別ブランドの夏用に買い替えても、たぶん同じ結果になります。
冷房が強い部屋なら長袖のほうが眠れることもある
暑がりだから半袖、とは限りません。
家族と寝室を共有していて冷房が強め、というケースはよくあります。
この場合、夏用の薄い生地の長袖のほうが、冷えずに眠れることがあります。
ベネクスが夏用の「リカバリークール+」に長袖タイプを用意しているのも、まさにこの冷房対策のためです。
「夏用=半袖」ではなく
「夏用の生地」の中で袖丈を選ぶ、という順番で考えると外れにくいです。
寝つくときは暑いのに、明け方に冷えて目が覚める。この人はたぶん、半袖より夏用の長袖のほうが合います。
その他の気になること
ここまでで拾いきれなかった、夏ならではの細かい疑問をまとめました。
夏は何枚くらい用意すればいいか
寝汗をかく季節なので、最低2セットあると回しやすいです。
1セットしかないと、洗って乾く前に次の夜が来てしまいます。
夏用の生地は乾きが速いので、部屋干しでも翌日には間に合うことがほとんどです。
汗をかいた日は毎日洗ったほうがいいか
肌に直に触れるものなので、汗をかいた日は洗うほうが気持ちよく使えます。
洗濯で機能が落ちるかどうかは、加工ではなく繊維に練り込んであるタイプなら、洗濯を繰り返しても落ちないとメーカー各社が説明しています。
ただし乾燥機や柔軟剤の扱いはブランドごとに違うので、洗濯表示は必ず見てください。
夏用でも血行を促す働きは同じか
同じシリーズなら、夏用でも冬用でも同じ特殊繊維が使われています。
違うのは生地の厚みや編み方であって、繊維そのものではありません。
「夏用は機能が弱められている」わけではない、と考えて大丈夫です。
日中の部屋着として着てもいいか
寝るとき専用という決まりはないので、家でくつろぐ時間に着ても問題ありません。
ただし夏用モデルは薄手なので、来客対応や近所への外出に使えるかはデザインしだいです。
外でも着たいなら、部屋着に見えにくい形のものを選ぶと使い道が広がります。
夏のリカバリーウェアは生地を替える前に確かめることがある
夏に暑く感じたとき、いちばんもったいないのは、原因を確かめずに買い替えてしまうことです。
暑さの出どころは、生地・寝床・部屋・体の4つに分かれています。
そのうち買い替えないと直らないのは、生地の層だけです。
- 今夜、無料でできること
掛け布団を減らす/肌着を脱いで直に着る/風呂上がりは体が落ち着いてから着替える - 次にやること
寝室に温湿度計を置いて、室温が28℃を超えていないか数字で確かめる - それでも暑いなら買い替え
接触冷感の表記より、通気性と吸汗速乾を土台に選ぶ
そして、冷房で体が冷えやすい夏は、血行を促す働きが欲しくなる季節でもあります。
夏に脱いでしまうのではなく、生地だけ夏に着替えさせる、というのがいちばんもったいなくない使い方です。
まずは今夜、布団と肌着から見直してみてください。
